相談までのできごと
流通会社で経理を担当していたEさん。しかし、業績悪化による待遇悪化とパワハラ気質の社風に嫌気がさし、退職を決意しました。
その後、無事に転職先が見つかりましたが、転職先への入社日が迫っても、会社からは繰り返し引継ぎを求められました。
心配になったEさんは、当事務所にご相談くださいました。
弁護士の対応
お話を伺うと、Eさんは退職にあたって会社とわだかまりがあり、感情的な理由から引継ぎはしたくないとのことでした。
弁護士は、引継ぎは法的義務であり、一切引継ぎをしないまま退職すると会社から損害賠償請求されるおそれがあることをご説明しました。
もっとも、引継ぎにも限度はあるので、際限なく応じる必要はないことも説明しました。
ご依頼いただいた弁護士は、会社側と引継ぎに関する調整を行いました。
Eさんの業務の性質上、どうしても出社して引継ぎをする必要がありましたが、Eさんは上司や同僚に会うのが苦痛でした。
そこで、土曜日に上司や同僚がいない状況を作り、その間に出社して引継ぎを行うよう調整しました。
しかし、Eさんが心配されていたように、会社は「さらに引継ぎをしてほしい。あと1日でいいから出社してくれ」と求めてきました。
そこで弁護士は、Eさんが誠意を尽くし、出社での引継ぎを行ったことや、これ以上の出勤を伴う引継ぎは不要であると考えていることを会社に説明。
それでも出社による引継ぎを求めるなら、その理由を説明するよう会社に伝えました。
そうした粘り強い交渉を続けた結果、会社からそれ以上の引継ぎを求められることはなくなり、Eさんは無事に退職することができました。
弁護士からのコメント
退職時、会社から引継ぎを断ると、「損害賠償請求をする」、「退職金を減額する」などと主張されることがあります。
しかし、会社が引継ぎ不足による損害賠償請求訴訟をすることは容易ではありません。
退職者が多少なりとも引継書を作成して相手方に提出していれば、多くの場合、損害賠償を請求されることは回避できるでしょう。
一方で、退職金の支給は会社のさじ加減であり、比較的容易に減額される可能性があります。
これを取り戻すには、こちらが訴訟を起こさねばならず、大変な手間がかかるため、泣き寝入りするケースも多いです。
したがって、退職時に引継ぎが問題になりそうな場合は、弁護士に間に入ってもらうことをおすすめします。
アディーレなら、退職代行のご相談は何度でも無料。一度お気軽にお問合せください。
※事例の内容はご相談当時の状況や条件等によります。